かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

世の中にたえて桜のなかりせば。素直じゃない表現のいじらしさ。

 お題「好きな短歌」

 記事を書くのに困ったのでお題スロットを回して出た「好きな短歌」について書きます。好きな短歌は何ですか?と聞かれて即答できる人はなかなかいないと思いますが、自分はコレ!と決めているので困りません。

 

ちなみに座右の銘は「起きて半畳 寝て一畳、天下取っても二合半」です。これを意識高い人に話すとしかめつらをされるので、回避用として「子供叱るな いつか来た道、老人笑うな いつか行く道」を装備しています。

 

桜に思いを馳せる

私が好きな短歌は「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」です。古今和歌集で詠んだ人は在原業平とのことです。

 

なぜ好きなのか。それはツンデレだからです。世の中に桜なんてなければいいのに!こんなにドキドキしなくて済むんだから!という意味ですから、かなりのツンデレです。もっと現代訳するならばべつに桜なんかなくったって寂しくないんだからね!ぐらいでしょうか。在原業平も素直じゃありませんね。

 

とまあ非常に俗っぽく言っているのは半分冗談です。こう話すと少しウケがいい。この短歌の魅力というのは、やはり直接の描写をしなかった奥ゆかしさにあるでしょう。何よりこの短歌の存在を知った後では桜を見る目がちょっとだけ変わる気がします。ああ、桜があるおかげでまた今度咲くのが楽しみなんだなあと。そして古今変わらずの桜の魅力を想わずにはいられません。

 

そろそろお花見の予定を立てたりするシーズンでしょうか。桜を見るときに古今の桜を詠んだ人々の心情を想ってみると、感慨深く楽しめるかもしれません。