かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

子どもの顔を忘れない、追い詰められても追い詰めない。仕事の流儀の感想。

 

子どもの顔を常に忘れない 

第18回 植村比呂志(2006年6月22日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

プロフェッショナルの植村さんの話が一番好きだ。これはNetflixで視聴できるのでぜひ見てもらいたい。題材はセガムシキングが大流行した頃の話である。

 

何か成果がない限り開発チームは解散する。そんな通達があり、日々何かを模索して喘ぐ社員たち。何かないかと毎日会議で顔を突き合わせたりするが、なかなかヒットするようなものは浮かんでこない。

 

そんなある日、娘を連れてゲームセンターに行ったことが転機となる。娘がやれるゲームがないと気付いたのだ。子供たちが遊べるゲームがない。それは開発者にとってとても衝撃的な光景だったのだろう。自分が作ったゲームを自分の娘に遊ばせてあげられないなんて!

 

”子どものための”ゲーム作り

そして小学校用の学習教材で評判だったカブトムシ相撲をネタに発展させることにした。ゲームはじゃんけんをベースにして子供たちにも馴染みやすくした。そして空前の大ヒットとなった…という話。そこから得たものは現場で、子供たちの目線で、生で観察するということ。机上であれこれ大人の意見を交わしても何も浮かばない。

 

そのエピソードがいくつも盛り込まれていて凄かった。例えば子供たちに向けたイベントショーでは自らが悪役となって登場する。主要なキャラクターはおそらく全員開発者だろう。たかがショーとは思わずに、毎回子供たちの反応を大切にするのだという。自分がこうしたら子供たちは怖がるのだろうか、それとも驚くのだろうか。そういった感覚を子供たちの前で確かめていく。その”熱”を開発現場に持ち帰って忘れないように大事にしていくのだろう。

 

仕事の流儀

一番心に響いたのは、「追い詰められていても、追い詰めない」これだ。なんて大切な言葉なんだろう。上司として、更に上のほうから予算が…とか期日が…なんてしょっちゅう詰められているんだろう。けれども部下を持つ身として、決して部下を追い詰めることはしない。間に合ってない人には自分が率先して付き合ったりする。意見をぶつけて、寄り添う中に追い詰めようという意志は決して滲ませない。

 

それは、追い詰められたり、怒られた瞬間に「子どもたちの笑顔が消える」からだという。開発者たちが思い描いている子供たちの笑顔が、上司に怒られる!という恐怖で塗りつぶされるのだ。「植村さんに怒られる!そう思った時、子供たちの笑顔は消えてしまっているんです」だから、追い詰められても追い詰めない。並大抵の覚悟じゃできないことだ。

 

それもきっと子供たちの為ということが、まさに至上の目標と化しているからなのだろう。普通は自分の為だったり、利益の為だったり。もしくは上司がむりやり押し付けてきただとか。そういったモチベーションでこういった「追い詰められても、追い詰めない」というものが示す真の価値にはたどりつけないはずだ。

 

子どもだから、なんていいわけは通用しない

これは「子どもたち」がターゲットだからこそ余計に気を使わなければならないのかもしれない。子供たちは大人たちよりずっと我慢強くなく、そして飽きやすい。さらに言うと感受性が強く純粋。そのうえ、大人たちよりもずっとずーと、”ウソ”、”ゴマカシ”に敏感だ。だからちょっとでも手を抜いたところに子供は落胆してしまう。夢をぶち壊してしまうのだ。

 

スーパーのお菓子コーナーというのは目線の高さを中心に商品をそろえることに気を配るらしい。確かに自分が子供の頃はお菓子コーナーが自分の行きたい場所になっていた。大人の陳列コーナーを見てもなにも楽しくないのだけれど、子供コーナーは週ごとに行っても商品が頻繁に変わっていたり、ちょっとポップが出ていたりする。子どもの気をひく仕掛けにこだわっているのだ。よくできたコーナーはきっと子供の目の高さに腰をずいぶんかがめて、どう配置すれば喜んでくれるかを真摯に考えているに違いない。

 

夢の国といったらディズニーランド。外の世界を忘れるためにあらゆる気遣いが成されているというのは有名な話だ。一部誇張はあるようだけど、そこにある空間づくり、お客様に夢を見せるという使命が一貫して伝わってくる。

1・東京ディズニーランドには鏡がありません。
鏡で自分を見てしまうことで現実世界に戻ってしまわないため

2・東京ディズニーランドには時計がありません。
時間と言う現実を忘れて楽しんでもらうため(一部時計があるところはあります)

(省略)

7・東京ディズニーランドでは敷地内から外の風景が見えない
現実世界を見せないように、周辺のホテルは全て12階建てになっている。

 

ディズニーランドってすごいんですね。 - 東京ディズニーランドは「夢... - Yahoo!知恵袋

 

またキッザニアは子供たちが職業体験することに夢中になるという不思議なテーマの場所。「子どもたちが主役の国」ということで大人たちは子供にあれこれ言う場面はなく、子供たちの自由意思で働く。このコンセプトでキッザニア側が重要視しているのが「子ども扱いしない」こと。全て大人と同様に扱うことに腐心している、だってあこがれの職業に向き合う姿は誰だって真剣そのものなのだから。