かやのみ日記帳

読書の感想や思想を書いています!

初めてイヤホンをつけた日の思い出

 

イヤホン禁止令

初めてイヤホンをつけたのは高校の受験の時である。それまではイヤホンは聴力を落とすから禁止というのが我が家の掟であった。そのため音楽を聴くという習慣だとかCDを買うなんてこともあまりなかった。一人で音楽を楽しむという環境がなかったためである。

 

音楽を単体で聴くというよりはテレビ番組だとかゲームなど音楽単体ではなくあくまで付属品としてが多かった。それに自分の部屋でのプレイではなかった。そんなわけだけれど、高校になり大学受験がいざ控えるとなると特別集中が必要だからという理由でイヤホンをつけて勉強をすることにした。

 

小中学校までは親の教育は厳しかったのだけれど、高校になってから反旗を翻したこともあり自由がある程度は得られた。けれどもイヤホンをするなみたいな過去の禁止事項をなんとなく守らなければいけないような罪悪感にとらわれていた。だから受験勉強とは言えイヤホンをつけるのはちょっといけないことをしているような気持ちだった。

 

音の豊かな広がり

それから受験勉強ということで恐る恐るなれないイヤホンをつけることにした、がまず着け方がわからない。これであってるのか、かなり奥まで入れなきゃいけないのか。なんだか耳がむずむずするしひょっとしてサイズがあってない?など不安にも駆られてしまった。

 

一時期は学校で誰かにイヤホンの付け方でも聞こうか本当に悩んだほどである。耳に合っていないのかなんなのかすごく筋肉が(?)疲れてしまっていたのを覚えている。とはいえ装着はなんとか落ち着いて音楽を再生してみて本当にびっくりした!

 

それまでイヤホンで聞く音楽というのは近場で大音量で、それでいて周囲への配慮のための物と思っていた。別に周囲へ配慮の必要がなければイヤホンは必要ないと考えていたけれど、そうじゃないことをはっきりと理解した。音が自分の体の中心でぶつかって共鳴しているような感覚を味わえるのだ。

 

当たり前のことかもしれないけれど当時の自分は全てが新鮮な発見で満ちていた!イヤホンで聴く音楽とスピーカーで聴く音楽の違いは何か。耳までの距離だけではなく、左耳、右耳に違う音声が流れていることを発見し、それらが脳で合成される。そのせいで立体感を得られるのだ。

 

これは現代で持て囃されてるVRとも同じ原理だろう。左目と右目に違う映像を流し、脳で合成することで平面から立体に知覚するようになる。なんていうか、二つの情報が独立していることで新しい情報が得られるんじゃないかとか…自分ではっきりとした言葉にできないながらもとにかく感動していた。

 

音のいろんな楽しみ

それ以来音楽には様々な楽しみ方があると知った。ライブ会場なんかで聴くものは観客の歓声、熱気、それに加えそもそもの巨大な空気の振動や視覚の効果だって含まれているだろう。この空気の振動は身体を大きく振るわせてくる。それもまた音楽の一部なのだろう。

 

また自分で楽器を演奏する楽しみも同じだ。自分で歌うこともまた変わってくる。その歌に籠められた言葉だとか、歌う難しさなどを実感したり聴いてる時には見つけられなかった音やリズムを発見した時はもっとその曲が好きになる。

 

今でもイヤホンで聞くときはほとんど一番低いレベルで音楽を静かに再生していることが多い。大きめの音で聴くとそれはそれで体を震わせているような、精神が高揚するような気持ちにもなれるけれど、自分はじっくり聴くのが好みに合っている。

 

おわりに

ついこの間イヤホンが壊れてしまって新しいのを買い求めた時に店員さんに聞いてみると音量の大きさだとか低音の…みたいなところを紹介されてしまいちんぷんかんぷんだった。音量をそこまで大きくすることもないし、低音の違いが分かるほど繊細な耳でもなかったので適当に安いものを買って帰ってしまった。

 

とはいえ音量を大きくして音が漏れるほどなのに全然平気そうな人などがたまにいるけれど、なんとなく辛いのが得意な人に似ているなあと思う。辛さに強い舌を持っていて刺激を求めるように、耳が強くてロックでヘビーな音楽を求めている人もいるんだろうなと思う。たしかに音量が大きいのにバラードをしっとりと聞いている人は珍しいんじゃないだろうか。そんなことないのか…?

 

FPSでは周囲を警戒するためにヘッドホンやイヤホンが必須だと聞いたことがある。後ろから足音がするなどといった方位などを特定するために利用するのだそうだ。人間の感覚器を最大限に利用した遊びで本当にすごいと思う。VRなんかだと視覚に加え聴覚まで3Dとすることで没入感を増しているのだと思う。人間の感覚を広げるような体験というのはいつでも新鮮で、思い出に残るものだ。そうしたものをずっと楽しみに生きていきたい。