かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

きっと永遠に覚えているだろう、やさしい桜の風景

 

思い出の桜

今週のお題は「お花見」とのことだ。ちょっと早いのか、いやもう来てるのかとしみじみ思う。お花見といえば桜だと思うのだけど、忘れられない景色があるので記事にしようと思う。

 

昔、散歩するのが好きでいろんな道を自転車でさまよっていた。そんなある日のこと、お墓の近くで大きな桜の木が、花びらをゆっくりと、でもたくさん散らせていた。

 

あの光景はなんていうか、よくできた絵画のフレームの中に自分が取り込まれてしまったような感覚だった。自分の姿すらきっと絵画の中に描かれているだろうと目の前の景色を見ながら、幽体離脱したようにありありと想像してしまった。

 

その桜の散り方があまりにもきれいで、やさしげで、風に揺られてたくさん花びらが舞っている。でも桜はずっとそのままのように見えて、なんだか本当に永遠にそのままでいるようにすら見える美しい光景だった。桜がお墓にそっと色づけているような見るだけで心温まる瞬間だった。

 

ずっと見ているわけにはいかないと思いつつも、ずっとここにいたいという気持ちがあって、きっと道行く人からみたらどう見えるのだろうかとそわそわしてしまっていた。

 

その光景をずっとずっと見て、あまりにも惹き込まれてしまったものだから怖くなって忘れなければならないと思って急いでその場を立ち去った。あの光景を写真に収めようなんて微塵も起きなかった。見ているだけで他のことをしようとすら思えなかったのだから当然かも知れない。

 

ただあまりにも美しすぎる光景を見て、目が離せなくなったとき、自分にその光景を収めて、その感動を他の人に分けれるのか、今の光景をそのままの感動で感じられるのかと思うと、撮れなくなる。そういうことがないだろうか。

 

その光景はずっと昔に見たきりだったけれど、あまりにも優しくて儚い光景だったからきっと一生覚えてしまっているだろうなと思っている。あの光景を見た自分の運が良かったのか悪かったのか。ともあれお墓で眠る人たちにとっては最高の花見だろうなあと思ったりする。もちろん生きている自分にとっても一瞬だけでもいい花見だったなと思う。