リアル志向なハッカーゲーム
テレビドラマやアニメなんかでハッカーがキーボードをガチャガチャとやって黒い画面に英語が大量に並び、いい感じにシステムを掌握する姿に憧れなかっただろうか?その欲を満たしてくれるのがHacknetである。ただし難易度はかなり高いと思う。
似たようなゲームにWatchDogsもあるが、あちらはアクションオープンワールドという感じで、こちらはかなり実践的?な感じだ。ハッカーは机の上、一つのPCからすべてを掌握するのがオーソドックス。そんな感じだ。
Hacknetの難易度の高さとはすなわちコマンドを覚える難しさである。どのコマンドがどのハッキングに対応しているのか。たどり方や対応方法を瞬時に覚えていないといけないのが非常に難しい。
画面はこんな感じ。TERMINALというところでコマンドを基本的には打つ必要がある。この画像では侵入した履歴が/log に残っているのでrm * で削除するところ。DISPLAY上では削除できない。左クリックや右クリックで削除…というわけにはいかない。
ゲーム性について
Hacknetのゲーム性はメモリが圧倒的に足りないこと、そしてハッキングの追跡時間による焦り、推理やコマンドへのひらめきなどである。
メモリは自分でメモを書いたり、ハッキングしたPCにshellをしかけた数などによってどんどん圧迫される。またPORTを開けなければならない数が増えると同時並行でハッキングプログラムを動かしたいのだが、せいぜい2つまでしか一緒に開けない。だから早く終わってくれー!と祈り続けなければならない。その焦りがコマンドの打ち間違いに繋がり、さらに焦る…という恐怖を味わえる。
焦りというのは警告画面などがでると人間ビクッ!とするものだ。誰しもブルースクリーンやセキュリティ警告を見たくない。一種のグロ画像みたいなものだ。それはまさしく冷静さを失わせる。Hacknetの場合、セキュリティを破っている最中にTRACEという逆探知までの時間をオーバーするとこんな感じの画面が出る。
おそろしい。最後のチャンスだとか書かれていてより焦らせてくれる。プレイヤーのやらなければならないことはISPにハッキングを仕掛け、自分のIPアドレスを変更することである。できなければ…ゲームオーバーだ。
こんな感じで残りタイムリミットを示すかのごとく画面が真っ赤に染まっていくのである。怖すぎる。
さらに注意として現実でもそうだろうがコマンドの打ち間違いは死につながる。自分の場合は某有名チェーン店の秘密のレシピを自分のPCに保存しようとしたらなぜか rm コマンドを打っていたらしく秘密のレシピが消滅してしまった!
困り果ててサーバーをrebootなどを行ったが失われたファイルは戻ってこなかった。そりゃそうなのかもしれないが、コマンドの打ち間違いによりゲーム進行が終わるとは思っても見なかった。コマンドには十分に気をつけたほうが良い。たとえ焦っていても。
結局Pt1をrmによって消してしまったがPt2は無事だった。そこでPt2をもう一つコピーして増やし、そのコピーしたファイル名をPt1と偽造した。これをアップロードしたところ依頼人は大喜びだったらしい。ゲームそのものをハックするというのも時には有効なのかもしれない。本当に焦った。
ストーリーについて
始まりは一通のメールを受信するところから始まる。Bitと名乗るものから助けてほしいと連絡が来る。そこからハッキングを行い徐々に依頼の真相に迫るのだ。そこでプレイヤーは徐々にハッキングスキルを身につけることになる。
ストーリー途中で様々なハッキング集団が請け負う依頼をプレイヤーもこなすのだがなかなか内容も面白い。例えば無実なのに密かに処刑されてしまったため処刑者リストDBに載っていない人間を名誉のために追記してくれという依頼など。
またかなりヤバイ依頼としては心臓ペースメーカをつけている安楽死希望だが拒否されている患者を安楽死させてくれ、など。これは流石に難易度が高く、そして倫理的な問題が非常に大きい。医療メーカのサーバーに侵入し、テスト用のファームウェアを入手、患者のペースメーカにログインし暴走を起こさせ、患者の心肺を止める…。
実際に心拍が止まる瞬間を見ることができて、ハッキングで人の命を奪わせるというのはなんとも後味が悪いというか、恐怖を感じさせるところであった。
感想
古今東西パソコンを使う上でHacknetから学べるもっとも大切で基本的なことを書く。
1. 絶対にパスワードをPCの中に書くな。
2. PCの中じゃなきゃいいやと紙や画像に保存するな。メールにも書くな。
3. 初期パスワードのまま放置するな。
4. セキュリティソフトは必ずいれよう。
こういったよくわからないパスワードの迷信(?)を会話に書いたりなどはご法度である。またもっと恐ろしいのが企業などの製品の管理者アカウントのID、パスワードがすべて同じ(!)だったりする。
もはや何も信じられない…という絶望を感じてしまうと思う。こんな文章が現実には存在しないことを本当に祈りたいところではあるが…。ともかくとしてご家庭ルータなどのID,パスワードが工場出荷時から変わっていないなんていう噂もよく聞く。
Hacknetをやってみていかにハッカーがそれを喜ぶのかを自分で体験してみると良いだろうと思う。セキュリティソフトがない状況なんてなおさら喜ぶだろう。まったくもって最悪な体験を自分で楽しむことができる。自分のPCがハッキングされて有名ファーストフードチェーン店の秘密のレシピを流出させる手伝いをするなんて考えたくないものだ。
Hacknetは基本的にはハッカーたちの凄腕ツールがあるからできるものの、基本的には人間がパスワードをあっさりPCの中に書いてしまっていたり、会話の中で不用意にもらしたりと言う部分が大きい。そちらのほうがよっぽど簡単だからだろう。だからなるべく簡単に侵入できて悪用できる情報をPCの中に持たないことも大切だと思う。
Hacknetは自分のPCのセキュリティについて考える上でも非常に有用だと思う。ぜひやってみてほしい。
日本語版で実際にやっている動画を見つけたけれどもなかなかよい紹介だと思う。雰囲気を見たい方はこちらをどうぞ。