かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

言葉の海で、心を編む その言葉を自分なりに受け取る

 

すぐには消化できないほどの濃さ

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プロフェッショナル 仕事の流儀 の辞書編纂者の回が一度見ただけでは足りず、
何度もまるで読み返さないと自分の意見を固められないぐらい濃かった。
一つ一つについて深く考えさせられた。
結局あまりまとまってはいないが、とりあえず書いたものを公開したいと思う。
しかし 言葉の海で、心を編む とは粋なタイトルだ。

 

面白かったのは時々言葉が主人公になるところだ。
言葉に対する仕事だからか、接し方が普通とは違うと思う。
整正美化について話していたとき、看板や言葉自体が生きて工場を見守っていたと話す。
”言葉は生きている”と体に馴染んでいるからこのように話せるのだろう。

 

言葉が生きているならば反対に死ぬこともある。それがいわゆる死語だろう。
辞書に載らない単語は死んでいるのか。
そんなことはないという姿勢が見えた気がする。まだ載っていない、ただそれだけ。
言葉に対する態度が非常に敏感なんだなと思わせる箇所ばかりだった。

 

辞書の存在意義

話の主題は辞書編纂なのだが、辞書はかなり売れ行きが落ち込んでいるらしい。
インターネットが普及して簡単に調べられるようになったせいでもあるだろう。
今の時代における辞書の存在意義とはないかまで問われている。

 

自分の本棚にも辞書は存在しない。お恥ずかしながら。
インターネットで辞書をまたいで一気に調べたほうが便利だからだ。
最近では電子辞書なんかもあるし、スマートフォンのアプリもあるだろう。
目には見えないけれども辞書というものにはお世話にはなっている。

だが一方でインターネットは便利だが危険もあるとも番組中で言及している。
ネット上での言葉狩りについてだ。
これはおそらく〇〇警察と呼ばれるもので言葉の誤用などを取り締まる人たちだ。
そうした自警団の根拠として使われがちな辞書の立場は悩み深いだろうなと思う。

 

だが辞書を編纂する立場としてどちらの味方もしない。
どちらも生きた言葉であるとして、それを説明するのが編纂者の矜持であるらしい。
肩を持つのはおそらく簡単だ。だがそれだけの威力と責任は大きい。
番組中でも幾度となく様々な人と真剣に議論を重ねる姿が映る。

言葉は本来危険なものであり、いつだって正しい気持ちを伝えられない可能性がある。
だから誤用などにも気をつけなければならない。
でも言葉も生きていて、それぞれに意味を持っている。時代によって変化する。
それらに対して生き死にを決めず、使う人達も喧嘩しないようにと見守っている。
そんなふうに見えた。

 

新しい言葉はなぜ生まれるのかを考える

番組中、面白いフレーズがあった。人はなぜ新しい言葉を生み出すのか?
その答えに「人とは違う考え方をしたいから」と答えていたのが非常に面白い。
少し閉鎖的なコミュニティが形成されるとそこだけの言葉が生まれやすい。
例えば部活動、バイト仲間、会社、SNSのゲーム友達など。

これはある意味仲間意識の強調だと思う。
隠語を使うことで共通の秘密を持ったように感じるのではないだろうか。
また同じ言葉を使うのはある意味ファッションにも似ている気がする。

学校、飲食店や軍隊には規律を持たせるため統一された衣装を用いる。
同様に言葉を統一して思想も含め、仲間意識をより強固にするのだろう。
ここらへんの話は勉強の哲学にも少し出ていた気がする。
組織内で逸脱した言葉遣いや思考を持っている人間ははじき出される。


では反対に自分自身で定義した言葉ばかりを使っていたらどうなるか。
これはキラキラネームが該当するだろう。
本来の言葉の読みや使い方を変えて自分だけの読みと意味をもたせる。
キラキラネームの問題は読めないし意味が伝わらないことだと思う。
言葉として成り立っているのだろうか?
これはおそらく言葉の持つ力が関係していると思う。


なぜキラキラネームを使うのか?
それは目立ちたい、たった一つのものを授けたいからではないか。
日本人口は少子化かつ人口減少により名前の重複も非常に減っていると思う。

だが現代はSNS、交通網の発展などにより人と接する機会が増えたように思える。
見かけ上の交流が増えたとき、凡庸な名前では埋もれると危惧したのかもしれない。

キラキラネームは言葉のファッションや芸術的な側面ではないだろうか。
言葉には実利的なきちんと意味を伝えるためのツールとして普段は使われる。
だが物語や詩など響きなどで情感を伝える感情的、芸術的側面もある。
名前の意味を最近はファッションのように捉える人が増えたのかもしれない。

 

おわりに

とまあ、辞書の役割から言葉の生き死に、言葉を人はなぜ選ぶのか。
そういった部分まで考えさせられた。正直二時間くらいの講義を受けた気分だ。
普段から言葉を使っているし文章を書いているから、真剣に受けとった。

けれども結局うまく受け止めきれていない気がする。
こういうのは原典が一番強いのでこの記事が下手だなーと思う人はぜひ観てほしい。
NHKのオンデマンドやUNEXTで視聴できる。