かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

VR酔いと醒めない夢

 

VR酔い

VRに酔いはあるのか?答えはたぶんYes。

自分は学術研究などは調べていないが、実際に似たようなものは経験した。

ジェットコースターや高所からの転落に酔うようなものではない。

自分の経験した、終わったあとにVRから醒めないような感覚について、だ。

 

最初の頃のVRChatへのログイン時間は1-2時間くらいだった。

終わったあとは少し現実感のなさがあるくらい。

このころには目立った症状はなかった。プレイ中も終了後もほぼ影響なし。

 

たまに実際に動いたりすると部屋のどこにいるかわからなくなったり。

ふとHMDを外したら外が暗くなっていたことに気づかなかったり。

壁に思い切りコントローラをぶつけたり、天井にぶつけたり。

そんなどこにでもある、よくある話だけだ。

 

現実でVRChat式の移動に憧れる

が、問題になってきたのはログイン時間が伸びてきた頃だ。

だんだんとVRChatの移動に慣れてきたころ。

 

VRChatの移動は面白いと思う。

コントローラの持つ角度とボタンの押し込み具合で移動したい場所を指定する。

そうするとアバターがそちらに向かってすぐに走り出す。

自分の視点がとりのこされたまま、アバターが離れていく。

 

短距離の移動や右左を向くというのは一瞬で完了する。

だからほんの少し瞬間移動に感じる。

だが、長距離の移動は自分を置き去りにしていく感覚になる。

 

この移動方法が現実でも採用されたら楽だろうなあと思っていた。

自分の体をコントローラで動かして、移動完了後にその時点に視点が飛ぶ。

最初はアバターが自分を置き去りにして行ってしまうのを微妙だと思った。

VR特有の没入感を減らしてしまう、現実感を損なうものだと。

 

でも慣れは怖いもので、これはこれで楽であるという風に思えるようになった。

移動も視点がずっとくっついていると、段差などで酔う。

あえてラジコンのように動かせるようにしたのは正解ではないか。

一人称視点での移動で発生する酔い軽減の意味もあったかもしれない。

現実では動いていないのだから、ある意味で自然だ。

 

VRを基準にした現実の視界のズレ

さて、VRChatのプレイ時間が次第に3-5時間くらいになった頃。

プレイ中はまったく酔わないが、終わったあとの視界がどうもおかしくなった。

視界がおかしいというよりも、自分の認識がどうもおかしいようだと気づいた。

 

一言で言えば現実での視界が、無意識にVRの視界のように見ようとしていた。

どうもVRChatプレイ中、立体を把握するため頭をこまめに動かしてたみたいだ。

現実でも自然と奥行きが無いか調べるような癖ができていた気がする。

 

その影響なのかは定かではない。間違っているかもしれない。

だが、VRChatを終えたあと普通に生活していても、視界がズレているように感じる。

現実にVR的な認識を合わせようとして失敗しているような錯覚だ。

 

振り返って考えてみたが、おそらくVRChatの描画遅延の影響もあるかもしれない。

いいグラボを使っていても人数が多いと描画に時間がかかる。

また強いPCを使っていても、絶えず60FPSでは描けないだろう。

 

現実と比べればVRでは、ほんの少し、0.1か0.001秒か遅いんじゃないだろうか。

これは本当に仕方がないと思う。

頭の傾きを計測し描画して…と遅延が積み重なり、ズレはどうしても発生する。

 

そのズレも3-5時間くらい連続プレイしていると、ズレに慣れてしまうのではないか。

だから外したとき、現実のレスポンスが高速すぎて、自分の認識が置き去りになる。

VRで感じていた認識の慣れとのズレが発生する。

これに自分は酔ってしまったのではないだろうか。

 

そこにある見えるもの、に対する疑念

また物体がそこにあるか?という認知にもズレが発生していた気がする。

VRChatでは、たまにシェーダのせいで距離感が狂いやすいものがある。

目が引き込まれるような、平面のはずなのに無限の奥行きを持つようなだまし絵。

まあVR自体も平面といえば平面なのだが。

 

自分が認識しているその距離にその物体が本当にあるのか?

それがVRではわからない。

なんていうか目で見た情報が正しくない、というのはVRのヤバイ事実である。

それを強化するようなこと、利用するようなことが増えてくると悪影響が出る。

 

VRを子供がやると斜視になるというが、自分は空間認識に影響が出た気がする。

なんていうか現実にVR的な見方を持ち込んでしまった。

人と違う現実に対しての認識の仕方というのは説明しづらい。

 

とはいえそこまで深刻には考えていなかった。

映画館でスクリーンに集中しすぎて、出口で距離感を間違うことはよくあったからだ。

人間は極度に集中しすぎると、対象が近くに感じたり大きく感じたりする。

そういった人間の脳の持つ能力拡張の暴走みたいなものと感じていた。

 

夢か、VR

さて、それでも懲りずにVRChatにずぶずぶとはまり、プレイ時間が伸びていった。

VRをやっていない平日中も、まあやりすぎのせいでVRから少し醒めない状態だった。

休みの日など特にひどい。現実とVRのログイン時間が逆転していた。

 

ところでVR睡眠をご存知だろうか?

VRChat内で睡眠すらとってしまおうというものだ。

ヘッドセットをかぶったまま睡眠する。

起きた瞬間に現実かVRか、一瞬わからなくなるそうだ。

www.itmedia.co.jp

 

自分はまだVR睡眠をとったことはないが、似たようなことは経験した。

VRChatを深夜までプレイしたあと、お風呂に入ってベッドに横になった。

かなりの長時間のプレイで、正直いつ寝たかわからなかった。

 

ふと夜中、目を覚ました。寝ぼけているので記憶がはっきりしない。

となると、直近でもっとも印象深い記憶の影響が色濃くなる。

ずっとVRChatをやっていたためか、寝落ちしたのでは?と錯覚した。

 

周囲を見渡しても薄暗い。自分の姿がはっきりしない。力があまり入らない。

天井もよく見えず、とりあえず手を動かす。

 

これがVRChatならポリゴンぽい手のひらが見えるはず。現実ならもっとリアルだ。

でも、夜中だからか輪郭もぼやけて見え、どちらなのかわからなかった。

 

寝ぼけた頭では現実とVRの区別はつかなかった。

果たして自分は本当にヘッドセットを外して寝たのか…?

 

そしてちょっと目が覚めてきて、ヘッドセットがないか確かめて安心した。

よかった、これは現実である。時計を見て、やれやれ夢中になってるなと二度寝した。

だがしばらく寝てから、また再度目が覚めた。

 

記憶をなくしたように、同じことを繰り返した。

これはVRなのか、現実なのか。手を見て、わからなくて、頭を触って。

 

そうしていると記憶を思い出す。そういやこれ、二回目だなと。

でも、さっきのは夢だったかもしれないと。起きてなかったのかもしれない。

そう思うと今もちゃんと起きているのか…?寝ぼけながらそんなことを考えていた。

 

昼になってようやく起きると、まあ自分も重度の廃人みたいだと笑った。

それからしばらくVRChatにのめり込んだ日は、そんな夢をよく見ることになった。

夜中に起きたときに見つめる自分の手は果たしてリアルなのか。

 

これを少し笑い話としてVRChatで話していた時期もあった。

が、こんなもん一般人からすればドン引きである。

専門家から見てもちょっとやばいかもしれない。

 

ここにきてようやく「やばいのでは?」と気づき始めた。

本当のところは自分でもわかっていて、笑ってごまかしていた。

VRChatの初心者であるという事実から抜け出したかったから。

仲間に入れてほしいという気持ちが、焦りが先走っていたからだ。

 

ドン引きされることになってると気づく

この酔いは、この夢はいつ覚めるのか。ちょっと不安になったりした。

なので、いったん離れてUnityやBlenderの技術を学ぶ時間に当てた。

そうしてVRChatへのログイン時間を1-2時間に減らしたりした。

するとこれらの事象はなんとか体が慣れたのか、めっきり起きなくなった。

 

簡単に言ってしまえばやりすぎはやっぱりよくはない。特に最初の頃は。

体がなれていない頃にいきなり急激な運動をするのと一緒だ。

VRもおそらくいっしょだろう。急激にプレイ時間を増やすのはオススメしない。

 

じょじょに体を慣らして、不調じゃないかの確認も必須だ。

ときには今日は体調が悪いからVRをやらないという選択肢もあったほうがいい。

三半規管かわからないが、通常の活動ではない未知の活動だと注意する。

だれも正しいことはわかっちゃいないのだ。

 

まだVRについて指導できる(?)人もいないはずだ。

だからこそ自分たちで注意しなきゃいけない。自分の身は自分で守れるようにする。

研究者も長時間のプレイ(一日平均5時間、総1000時間超え)なんて未知の領域だ。

楽しいゲームにはハマってしまうが、健康面での影響もケアしたほうがいい。

VRはやっぱり普通のゲームの常識が通用しない。

 

おわりに

書いていて改めて整理してみると結構やばいことになっていた気がする。
だいたいこれらが起きたのはVRを始めてから1~2週くらいだった。

その後ちょっとプレイ時間を改めたおかげで症状は収まった。

 

ところがその後もずるずると慣れとフレンドが増えてきて面白さが増していった。

そのせいでプレイ時間が伸び、睡眠時間がガンガン削れていった。

最近ではVRChatで健康を崩さないよう、健康Forceなるものも誕生したらしい。

どうも朝ラジオ体操をVRChatでやるという試みもやっているようだ。

 

ともかくとしてVRChatをなんとか自制しなければならない。

というわけでブログ記事を書くことで紛らわせているわけである。

ちなみにたまりにたまったネタが終わるまでログインすまい!と思っている。

あと4日ぶんくらいはあるのでしばらくは健康に過ごせそうだ。