ときおりなにもかも投げ出して田舎で静かに暮らしたくなるときがある。
誰にでもきっとあるはずだ。山奥で暮らしたいとか、布団にひきこもっていたいとか。
そういった願いを抱くたび、グッドウィルハンティングのセリフを思い出す。
主人公ウィルは天才だが虐待された過去があり、人にうまく接することができない。
腐れ縁の友達とバカをやりつつ、自分の才能をちょっとだけいじらしく試して終わる。
なにかをするよりも、なにもしない、傷つかない今を保ちたい。
その上で、さらに傷つかない世界に暮らしたいと願う。
羊飼いになって悩まない人生を送りたいと。
そんなウィルに対して言い放たれるのが「羊を飼え」だ。冷たく言い放たれる。
当然怒る。そんな言い方はないだろうと。じゃあなにがしたいんだ。
そう言われるとなにも言えない。だったら羊でも好きに飼えばいい。突き放される。
羊を飼いたいと言いつつも、いざそうすればと言われると、そうしない。
それは自分の本当の望みではないからだ。
本当の望みは今まで怯えていたもの、挑戦できなかったことにある。
その挑戦に怯えて選べないから、羊を飼いたいと言ってしまう。
これは自分によく当てはまる。本当に羊を飼いたいなら飼えばいい。
たった今からアクションを起こせばいい。でも起こせないのが普通だ。
だとしたら本当の願いは別にあるのかもしれない。
じゃあ自分はなにがしたいのか。そう言われて主人公ウィルも沈黙する。
それでもウィルは最後の最後には自分で決めた自分のやりたいことをやる。
願わくば自分もそうなりたいものだ。