ふと骨が折れるという言葉が気になった。
苦労する作業をやらなきゃいけないとき、「これは骨が折れるな」と言う。
でもよく考えると、骨は折れない。骨折まではしないだろう。
かなりおおげさな表現である。でも日常で気軽に使っているのも事実だ。
では、どこの骨が折れてしまうのだろう?足の小指?
「これは足の小指が折れるなあ」なんて随分とシュールだ。
それに普通に骨が折れるよりよっぽど痛いようなイメージがする。
まあどこの骨かはよくわからない。魚の骨が折れるわけでもあるまい。
自分の骨が折れるような苦痛を味わうという意味で使っているはずだ。
ほかにも似たような表現がないかと思えば「骨折り損のくたびれ儲け」。
これ、語順を間違って覚えていた。くたびれ損の骨折り儲けとか。
まあどちらにしろ意味は通じる気もするが、とにかく皮肉な意味である。
こちらの語源は「江戸かるた」。かるた - Wikipedia
全然知らなかったが、犬も歩けば棒に当たるとかは、江戸いろはかるたが原典らしい。
ということで、かるたのときには「ほ」で取らないといけない。
そして、このWikipediaの記事にはリンクがあって詳しく書かれている。
だが原典はどうやら載っていない。
が、気になるのは幸田露伴の『東西伊呂波短歌評釈』についてだ。
東西でいろはかるたの読むものが違うことに触れている様子。
徒労の身を疲らす有るのみなるを嘆じたるは東の語、慈顔も之を冒すこと数数すれば怒ることを云へるは西の語なり。
西の語は仏の顔も三度までのことを指しているのだろう。いい文章だなあと思う。
ちなみに尾張では 惚れたが因果だそうだ。かるたもどうやらいろいろあるらしい。
そういえば幸田露伴は聞いたことがあるが、代表作は何だったかなと寄り道。
調べてみると五重塔。
あらすじがいい具合にまとまっていてすっかり読んでしまった。
青空文庫にも五重塔はあったのだけれどさらにいいものも見つけてしまった。
どうやら現代語訳を試みたいい人がいるらしい。とてもきれいな文章に見える。
https://ncode.syosetu.com/n7229ey/
正月休みに暇ならば、読んでみるといいかもしれない。
そんな感じでふと、骨折りという言葉からずいぶん寄り道した。
これもまた骨折りかなと思うけど、損はしていない。
正月らしくかるたを調べ、いい文章を読めたのでいい一日だったと思う。
…とここまで書いて、ブログに投稿しようとして気づいた。
昨日のお正月の文章に”骨が折れる”なんて書いてあることに。
どうやら昨日から無意識で妙にひっかかっていたらしい。
ちょっとだけスッキリしたし、おかしかった。
今年もこんな感じで、自分なりに書いていけたらいいなと思う。