かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

VR図書館と青空文庫の夢

 

居心地のいい場所を自分で作ること

VR図書館は案外簡単に作ることができた。
もっと専門的で難しいかと思ったが、そんなに時間はかからなかった。

VRChatは基本無料で、自分でVRで遊べる世界を作れる。本当に素敵だった。
図書館として認められるうえで必要な法律などは知らない。
でもVR図書館は個人で作ることができて、いろんなことを学ぶことができた。

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夕焼けの図書室

自分が作ったのは図書室だ。
作るのは簡単で、そういうセットが売っている。20$程度だった。
現実に図書室を作ろうとしたらいくらかかるだろうか。そう思うと相当に安い。
友人たちを招いてお祭り騒ぎする空間を借りるなら$20では足りないだろう。
図書館ではなく図書室を選んだのは、編集する面積が小さくて済むからだ。

VRで過ごせる空間を作る上でとても大切にしたかったものがある。
それが”居心地の良さ”だ。VRでもずっと立ったまま話すのは結構疲れる。

VRChatは面白い仕組みがあり、現実で座っていても立っているように見せかられる。
でも、長く話すなら座れる場所がいい。できれば立ったり座ったりが楽な場所がいい。
となると畳はけっこう便利だ。こたつなんかもいい。布団も気楽だ。

だから図書室には畳とこたつと布団を配置した。おまけにお茶と食べ物も配置した。
それは現実的ではない、行儀がよくないという人もいると思う。
でもそれは現実では制約があるからだ。

本当は現実の図書館だって食べ物や布団があったほうが過ごしやすいはずだ。
現実にないのは本が汚れるとかスペースの確保が難しい、維持費とかが理由だろう。
だがVRではそういう心配はない。おまけに収容人数は事実上無限だ。
だから理想をどこまでも追求できる。気に入らなければ、自分で作ればいい。
世界を簡単に作り変えることだってできる。

 

現実で居心地のいい場所は高いし混雑する

現実で家では集中できないからという理由でカフェで作業をする人がよくいる。
だが、作業してる人ばかりで肝心のご飯を食べるスペースがないこともよくある。
とても悲しいことだ。
こういう現象はより居心地のよい場所を求めている人が多いからだと思う。

そこでVRはこの問題を解決できるんじゃないかと思う。
VRでは広い部屋が必要とよくいうが、そこまで広くなくていい。
居心地よく仲間内でだらだらと話すだけならそもそも現実でも全然移動しないからだ。
作業などをしたいならなおさらだろう。

VRの世界は現実の制約があってしょうがない部分を取り払える。
費用の問題、掃除の問題、維持の問題。そういうものはVRでは関係ない。
おもちゃだとか現実的じゃないと感じる人は、まだVRの進化を知らないだけだ。

写真を現実的じゃないと感じる人は今の時代にはほぼいないだろう。
じゃあ写真を3Dで取り込んで再現したら?現実とほぼ変わらないだろう。
そういう技術は日増しに進化している。
AIの画像認識と同様に今後ハードウェアとともに3Dスキャン技術は進化する。

3Dスキャンした動画を空間として高精度で再現できてVRで飛び込めるようになる。
そこまでいけない理由は、いまのところない。
今現在のスーパーコンピュータと人間の手作業で十分実現可能だろう。

だから20年後くらいにはハードウェアはもっと進化して、お手軽に再現されるはずだ。
なぜなら20年前、こんな世界が来るなんて、
個人でVR世界を作れるなんて思ってなかっただろう。同じ未来がやってくる。

 

VR青空文庫の夢

つい先日図書室をアップデートして本を読めるようにした。*1
これは青空文庫の本を開いて読むことができる。
実際のところVRで本を読む必要性はあまりない。

うまくやればヘッドセットをかぶりながら現実で本も読める。*2
また自分の画面限定だが、他の画面をかぶせて見れるソフトもある。
今現在のヘッドセットでは解像度が低くて文字が読めないという致命的な問題もある。
でもVRで本が読めるというのは新しい可能性だと思う。

今回利用した青空文庫著作権がきれたものを電子化して収録しているサイトだ。
だが著作権の期間が延長されてしまった。
これから電子化されるはずだった本は、あと20年収録されない。
本当に大きな大きな損失だと思う。*3

www.itmedia.co.jp


自分も青空文庫になんらかの貢献をしてみたかった。
Code4Libなど青空文庫にはプログラミングなどで貢献する仕組みがある。
そういったものを読みつつ、自分もなにかできないかと頭の片隅でずっと考えていた。*4

そこで、これからは本を読むという体験に着目するのはどうだろうと。
VRでいっしょに本を読む、朗読する。これがいい。
本の形は自由でいい。大事なのは文字の形ですらない。体験だ。理解だ。
それをVRという最先端の技術で、より深く考えられるんじゃないか。

自分がやったことは青空文庫のなんの足しにもなりはしないだろうと思う。
でも、こういう空間が個人で作れる、もっとすごい人ならもっとすごいものが作れる。
だれかが少しやってみることで、新しい可能性が感じられる人が増えるんじゃないか。
それは決して無駄じゃないんじゃないかと信じている。

現実という絶対の評価軸がVRという新しい技術によって、新たな視点が得られる。
VRが単なる遊びから変化する。気づき始める。
今まで自分たちが生きてきた世界、価値観を違う視点から見つめられるようになる。
絶対の視点から、2つの視点を持つことで実は本質を再度確認することになる。

おわりに

その気になれば自分が思うずっと居心地のいい空間がもう自由に作れる。
だれかといっしょにすごす。同じものを共有する。
SNSのいいね、RTなどの文化から見ると、現代では大切なことなんじゃないかと思う。
VRChatはVRSNSとも一部では言われる。
人と人とのつながりが現実とは違った形で、新しい技術で結びつく。

別に断捨離とか現実の空間をシンプルに節約とかを言いたいわけじゃない。
ただ、第二の世界として居心地のいい空間として確かにそこに存在している。

まだVR機器は依然として高い。
そして今はまだ本が見えるほどの解像度のあるHMDは一般には普及していない。
でも数十年後、数年後には普及する未来が待っているかもしれない。
そういうとき、図書室があって、そこで本が読めたならとても素敵じゃないだろうか。

*1:https://booth.pm/ja/items/1313165 素晴らしくて、これだ!!とすぐに置かせていただいた。ここで感謝させていただきます!

*2:実際に朗読会がVRChat内で自分の知る限り定期的に2-3人の主催者が開いている

*3:志賀直哉作品を読むのを数年前からずっと楽しみにしていた…

*4:https://kayanomi.hatenablog.com/entry/2017/03/31/225355