かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

マトリックスリザレクションズはいい映画だった、信じればよかった

 

自分は選択できなかった

マトリックスリザレクションズを映画館で見なかったことを、ものすごく後悔した。
見なかった理由は怖かったからだ。三部作で終わった物語の蛇足になるのではないか。前評判が気になり、ネットのレビューを見れば微妙に駄目な雰囲気。
じゃあレンタルとかで見れるようになってからでいいや…と。

 

大間違いだ!なんて馬鹿だったんだ!すぐにでもみりゃあよかったのに!

 

本気で後悔している。それぐらいよかった。自分にとってはね。
マトリックスお馴染みの赤い薬を自分は飲めなかったのだ。勇気が足りなかった。

これは映画への絶賛でもあり、自分への反省でもある。

 

ネットのレビューはあてにならん

映画の評価は意外とあてにならないかもしれない。今回は心底そう思った。
マトリックスは有名作だ。いろんなひとがみている。で、難解でもある。
三部作をちゃんと理解できている人は少数派だろう。(もちろん自分も全然理解できてはいないだろうが)

なのでレビューとしてはまあ荒れるわけである。多くの人が難解な物語を見れば、平均点は下がる。そういうわけである。

 

しかしまあ…ネットのレビューときたらひどいもんだ!マトリックスリザレクションズではある程度作者からの注釈が序盤に入っていると思う。マトリックスとはなんだろうか?バレットタイム…じゃない。高尚な思想…?いやいや。アクション!銃!違う違う。

それらのメッセージを受け取らずに「今回の映画には良いアクションがなかった☆2」とかひどすぎるってもんである。マトリックスをアクション映画として楽しめなかったという感想なわけだ。そりゃそういう視点で見りゃそうかも知れないが、物語としてはどうでもよかろう。

 

たしかに三部作ではアクションがものすごいかっこよく、派手だった。それに比べれば今作は超控えめなのかもしれない。が、自分としてはさっぱりな味わいで良かったと思う。なんかこう…キアヌのおつかれなムードとアクションの控えめ感が大人びててよかったなとすら思った。

 

真実は目では見えない

マトリックス”という映画シリーズにおいて、自分がもっとも面白いなと思うのは「目に見えるものだけが真実ではない」という強烈なメッセージが至るところにあることだ。自分自身(ネオ)にも当てはまるし、周囲の人も機械もみな外見で判別などできない。起きている出来事も、全部見えることで判断はできない。

 

例えばマトリックスの伝統的な敵、スミス。彼はプログラムである。人間ではない。人の形をしているが、行動原理、精神性、特殊能力など全く違う。彼は誰にでもすぐに移り変わることができる。そこにいる人間がスミスなのか?それとも違うのか。それは外見ではまったくわからないし、判断することはナンセンスだ。

 

ネオは人間なのか?これもまた実は判別がつかない要素である。ネオの生まれは?ネオの父、母は?まったく語られない。いないのかもしれない。マトリックス生まれには母、父はいないのか?その可能性もある。

表面上の顔、形、性格、作中の設定…全部がもしかすると嘘かもしれない。本当かもしれない。そういった不確かなものであるというのが”マトリックス”の魅力だと思う。なにもかもが不確かであるからこそ、じゃあ大事なものってなんなのか。それを考えなければ読み解くことができない。楽しめない物語だ。

 

バレットタイムだの、ネオの特殊能力だの…どうでもいい。それは映画の撮影技法とか問題を解決するための手段でしかない。本当に大事なのは、なにを伝えたかったか?だ。彼ら、彼女らは自分自身で求めるものを得ることができるのか、否か。選択した結果を受け入れられるのか、否か。

 

マトリックスリザレクションズはいい物語だ。表面上の出来事にとらわれない、その大事さがわかった上で見ると、本当に面白い。

 

…そういえば、なんでそんなに表面上のものにこだわらず、本質を見ようとすることが大事だと知っているのか?感覚的にわかるのか。

それは自分がVRChatをやっているからである。あえて現実を捨てて、マトリックスの世界に潜っているようなものだ。マトリックスの世界では外見も世界も、行動も全部思うがまま、自由だ。目に見える外見も世界も意味がない。意味がないから価値がないわけじゃない。

大事なのは、大事なことを自分で見つけることだ。目に見えることが全部だと思えば、大事なことを見失うこともあるだろう。現実だけがリアルじゃない。記憶や脳に入る電気信号、目に入る光がリアリティを定義しているわけじゃない。

 

まあ、これ以上語っても本編の二番煎じなのでここまで。本当にいい作品だった。
まったく、ネットなんか見ずに映画館に直行すればよかった。過去の自分を蹴り飛ばしたい。しかし続編が最高に良くて本当に良かった。マトリックスの語るテーマ、やっぱり好きである。