かやのみ日記帳

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グラン・トリノの最高のキャッチフレーズ

 

男の人生は、最後で決まる。

グラン・トリノ [Blu-ray]

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男の人生は、最後で決まる。
- Joe Morgenstern, WALL STREET JOURNAL

こんなにカッコイイキャッチフレーズがあっただろうか。そのうえでこの映画を語りつくす一言があっただろうか。それぐらい映画を見終わった後でこんなに凝縮された素晴らしいコメントだったとはと驚く。映画のキャッチコピーに最もふさわしく、これ以上ない賛辞である。

 

俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。
少年は知らなかった、人生の始め方を。

日本語版のキャッチコピーもそんなに悪くはないが最初のものよりは少し劣ってしまう。俺は、よりも男は迷っていたでもよかったかもしれないし、締めくくり方はちょっと冗長な気もする。人生の幕引きを、とか後始末をとか…。うーん、まあ凡人が考えたところでこんなところだが、それでもこのキャッチコピーも悪くない。俺と少年という温度感の違いがどこか主人公らしさを引き立てている。

 

 

グラン・トリノは主役がクリント・イーストウッド。ダーティーハリーの名台詞はとっても有名だろう。44マグナムが似合う、強い男のイメージがそこにはある。

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 そんなクリント・イーストウッドは数々の映画で様々な悪役たちを葬ってきたヒーローだ。そんな彼がこの映画でもそういった役柄に対して答えを出そうとしているような作品だった。当初は偏屈な老人だが、次第にヒーローのように悪役を倒そうとする。

 

しかしその結果身近な人間が悲劇に見舞われる。彼が余計なことをしたからと言わんばかりに突き付けてくる。敵を倒せば倒すほど新たな敵がやってきたり報復されたり…。どこまでも血で血を洗うようなものを示している。そうした戦いに終止符を打つべく彼は己の最後を決める…。

 

 結局のところ何が正しかったのか、それはわからない。どうすればよかったのか、よりよいエンディングはなかったのかと考えることはできる。できるけれどそれきりだ。でも最後に英雄だった老人が決めた決断が誰も傷つけずに誰かを守ろうとしたこと、なんていうのはかけがえのないものだったと思う。人を傷つけるのは、すべての悪人を倒すのは簡単かもしれないけど、それじゃ終わらないのだ。そうした老人が決めた最後の決断の価値や想いを次世代の血のつながりもない人物が受け継いでいく。

 

おわりに

グラントリノはなんだかうまくいかないことばっかりだなあと思って見ていた。現実味のある映画というか、アジア人ばっかりで嫌々していて頑固で偏屈な老人のクリント・イーストウッドなんて…。それでもって彼は途中までヒーローだったのにいつの間にか泥沼の中でとてつもない無力さを味あわされることになる。

 

ただのハートフルな、老人が心を開いていく様を見たいと思って期待しているとぐっと裏切られる。そんなことを描きたかったんじゃない、俺は覚悟を見せたかったのだと。事前にキャッチコピーに惹かれてみたからこそ、強烈に自分の中に残った。キャッチコピーとセットとなって残るエンディングは他になかったように思う。