紙と変わらないという信じられないほどの衝撃
Kindle Paperwhiteは読書好きな自分にとって最高のデバイスと言って間違いない。電子書籍について当初思っていたのは、PCやスマホで長時間見るのには明らかに向いていないし、画面サイズも非常に中途半端だ。操作も非常に面倒だし、やっぱり手になじんだ紙のほうがいいやと思っていた。
ところが家電量販店で見かけて手に取ったとき、衝撃を受けてしまった。これは…紙だ。紙なんだと。黒い枠の中に紙が収まっているとしか思えないほどだった。そしてこの直感は非常に正しいことが後でわかった。PaperwhiteではEインクと呼ばれるものが使われていて、これはカプセルの中にインクが入っていて白黒を電子的に切り替えられるものだと思っていい。
つまりこれを使えば実際に印刷してるのと同じことができるというわけだ。ユーザーがページをめくった瞬間に次のページを紙に印刷していることに等しい。印刷後は紙と同じだから余計な電力も消費しないし、発光させる必要もない。長時間読むのに非常に最適なデバイスになっている。
更に言えば片手で持てるというのも大きい。普通大きめの本は片手では持てず、結局両面を開いても見るのは一ページだけだ。つまり半分は基本的に無駄になる。だから一画面だけで十分だ。…書いてて思ったがPaperwhiteを二台買って両開きにして、同期をとってうまくやる…というのもまあ面白いかもしれない。
電子媒体という特性やPDFが読めるという利点を活かす
ともかくPaperwhiteはリアルな書籍と謙遜ない、むしろバージョンアップしたイメージだ。紙は一度印刷すると訂正はできないが、電子的に瞬時に印刷しているPaperwhiteならばネット上で正誤を瞬時に変更できるし、ユーザーも本文の大きさやフォントを自在に変えられる。この影響は非常に大きくて、小さい文字にして一ページの密度を高めることでページめくりの手間が省けたりする。なにより三冊くらいはしご読みをしていてもフォントや大きさの違いで疲弊せずにシームレスに読めるのも面白いところ。なによりかさばらないことも好感度高しだ。
またPDFが読めるのもよい点だ。論文を読むときにディスプレイで細かい文字を読むと疲れてしまう人も多いはずだ。それを嫌って印刷して線を引いて…とやるのもいいが、Paperwhiteにいれてしまえばわりときれいに読める。ちなみにPowerpointの資料もPDFにして入れてしまえば目が疲れずに資料がかさばらなくてとってもエコだ。
【宣伝】『数学:物理を学び楽しむために』田崎晴明
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015年3月14日
大学の理系(あるいは経済)学部に合格して講義が始まるまで暇な人は、この本を読んで過ごすと楽しいと思うよ。ネットで無料公開していますが、内容は豊富で質も高いつもりです。(ただし未完成!)http://t.co/im0WGWYAKq
ネット上に落ちているPDFでこっそり入れて楽しんでいるのが 「数学:物理を学び楽しむために 」(学習院大学 田崎晴明教授)だ。ちなみに今は何故か学習院のサイトが落ちてて見れない。残念。だが600ページにもわたる面白く丁寧に解説されているPDFなのでダウンロードして損はない。600ページを普通のスマホやPCで見るのは辛すぎるし、印刷すると大変なことになるのは間違いない。とすればPaperwhiteに入れるのが一番の良策だろう。
いい機能だからこそ、本当にもったいないハイライト機能に悶える
ここまでひたすら褒めちぎっていたけれど、非常に厄介で困っている問題もある。それがハイライト機能だ。これは文章をドラッグすることでマーカーが引けるというもの。そしてマーカーをひいた個所は他のデバイスでも共有でき、コピー&ペーストできる。ブログなんかにも手軽に引用できて便利だろう。
この機能を見つけたときは本当に感動した!なぜなら今まで紙の本にマーカーをひいたら取り返しがつかなかったからだ。だが電子書籍ならマーカーの履歴を消せば元通り。だとしたら引かないわけにはいかない!楽しく自分の好きな場所や目を引きたいところにばんばん引くことができる。そうすれば自分なりにスクラップした本ができる。自分なりの要約した本になる。
と思っていたのだけれど、実は罠がある。著作権かコピーガードかわからないがマーカーをひくのには制限がある。だいたい100~150回くらいでアウトだ。(文字数制限かは不明) 厚めの本で適当に線を引いていても1/3くらい読み進んだところで「このアイテムのクリッピングの上限に達しました」と出てしまい、一気にしらける羽目になってしまった。ぶっちゃけコピーなんかできなくてもいいから単にマーカーだけでも引かせてくれればいいのに、それすらも許してくれないAmazonは…。
このハイライト機能はホームで各本ごとにどこにハイライトしたかをまとめてくれる。上手にハイライトを使うと本の簡単なまとめ、重要な文章を的確にまとめることができて、後から読み返したり書評を考えるときなんかに非常に有効だ。なのだが、あまりにも制限が厳しすぎて、正直言うと宝の持ち腐れになっている。せっかく電子書籍になったのだから、線くらい自分の好きに引かせてほしいものだ。
おわりに
とはいえ高水準にまとまってバッテリーの持ちもよく、そのうえフォントサイズやPDF閲覧、目が疲れない事や片手で持てることを考えればコストパフォーマンスは最高といっていい。で、願わくばハイライト機能が改善されることを期待したいところだ。
本当にいい機能でヘビーな読書家が買うデバイスなのにも関わらず、自由に線が引けないというのは致命傷にすぎる。機能面をぜひとも分割してほしい。単なるお絵かき的なデータとしてマーカーを使うモードと引用・コピー・ザッピングモードのように分けてほしいものだ。