かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

楽園追放の感想

この作品はテーマがはっきりしていて、自分の感想を読むより観た方がいいとは思う。
でも一応観た記録を書き、あとで読み返すとなにか変わるかもしれない。なので書いてみる。ネタバレはありなので注意。

 

楽園追放と言うタイトルだけれど、あまり楽園追放がメインテーマではない気がする。
追放されるわけではなく、自分の意思で脱出したのだから。一応は選択の結果である。
確かに反逆罪やら何やらで閉じ込められて結局逃げるしかなくなったわけだが。

 

ストーリーの展開では主人公アンジェラが電子体の考えから現実の考えを理解していく。現実がいいとは多分思っていないと思う。やれやれという受け入れに近いんじゃないだろうか。


ただそう言う生き方もある、下等でもなんでもないと理解したくらいではないか。
とはいえ嫌々でもなく、新しい世界や可能性を知って少し前向きという感じか。

 

現実最高!と言うのが作品のメインテーマではないといいのだが。
よくVRものとかを扱った作品では結局現実って大事だよねと諭して終わるものが多い。

つい比較してしまうけどlainのゲーム版、アニメ版ではそこを乗り越えている。
我々は情報を受け取る、解釈する存在であり、リアルらしいと現実を解釈しているだけであると。

 

楽園追放はいくつか目を引く要素がある。人工知能の自己進化もその一つだろう。
かなり善い存在として描かれているし、そのように振る舞う。人類の友達の存在として。この作品では非常にマイルドで消極的に見える。

外宇宙探索の人員を電子の楽園に住む人々に呼びかけているが、楽園に住む人々は外に出ようとしない。それよりもきっと電子の楽園で出世してさらなる自由を手に入れるために躍起なのだろう。すでに体制に組み込まれた人々、社畜的な人々の目を覚ますのは難しい。電子体の人々は精神的にかなり成熟しているらしく、いわば老いているのかもしれない。

 

なので人工知能が楽園に呼びかけたのは戦略ミスだろう。
だが、それが優しさでもあり抜けてるところかもしれない。だからアンジェラたちと友達になれたのだろう。本当ならアーカイブ領域に保存されている叛逆された人々に呼びかけるべきだっただろう。楽園をすでに追放されている人々の内乱を煽ってもよかったのかもしれないが、心優しい人工知能はそれを避けたか。
まあ乗員のトラブルも考えられるからやはり賢かったか。

 

もしくは地球には物好きがたくさんいただろうから、一旦電子体になって一緒に乗ろうといえばよかったかもしれない。まあ電子体になることに拒絶反応を持つ人が多いだろうから難しいか。なにせ地球人口は全体の2%らしいから。

 

発達しすぎた人工知能はヒトとして扱って良く、しかも人類の子であると認めて良いのではないか。自分はこの論に同意である。こう言う硬いテーマをさらっといい感じに描けるのはいいなあと思う。


映像はとても綺麗で、見ていて楽しい。ロボアクションもかっこいい。
気軽に見てもいいし、テーマに少し想いを馳せてもいい。
さらっと見れていい作品じゃないだろうか。