SAVE THE CAT 本当に売れる脚本術を読んだ。猫を助けよ。
脚本の本なのにいったいなぜ?毎回映画には猫を助けるシーンが必要なのか?
いや、そうじゃない。主人公に共感できる要素をいれろと言っているのだ。
極悪非道でただひたすら表情を変えずに銃を撃ちまくる人間は主人公にならない。
でも、猫が好きで猫を助けるために銃を撃ちまくる人は主人公になりうる。
この違いだ。それがタイトルの理由である。
でも、この本でもっとも大事なことは”猫を助けること”ではない。
最も大事なことは最初に書かれている。
「で、どんな映画なの?」に一言で答えられない映画は全部ダメだ、と言い切る。
映画は無数にあるし、客が映画を選ぶためには一言で説明されてないといけない。
そして、主人公はどんな映画かを決めたあとで作るものだと。
主人公ありきでストーリーやコンセプトが生まれるのではない。
自分の好きなオーシャンズ11ならたぶんこんな感じだ。
「ムショから出た凄腕の泥棒が10人の凄腕の泥棒を率いて、大カジノから大金と奪われた奥さんを取り戻す物語」
ミッションインポッシブルならこんな感じ。
「絶対に仲間を見捨てない凄腕の捜査員が、仲間と共に秘密兵器や変装を駆使して世界の危機を救う絶対不可能な任務に挑む」
JOKERならこんな感じか。ちょっと下手だけど。
「社会から見捨てられた男が起こした犯罪が、社会の不満と結びつき大暴動につながり、犯罪者たちから崇拝される物語」
自分がこの本を読んで思ったのは、脚本以外のことにも使えそうだということ。
コンセプトが大事!となんでも言われるけど、なんで大事なのかパッとしない。
大事なのはわかるけど…実際には機能しない。作り続けるときにふわふわしないのは大事だ。でも最初だけでしょう?
作り続けて、試作を続けることで新しくよいものができることもある。
コンセプトってそんなに大事だろうか?
いや、大事なのである。
だって「で、どんな作品なの?」って聞かれて答えられないのはまずい。悲しい。
細かく説明してもしょうがない。機能を説明しても、いろいろ伝わらない。
コンセプトとか、そういうことを説明しないといけない。
ミッションインポッシブルの説明をするとき、
凄腕のエージェント、イーサン・ハントはIMF、インポッシブルミッションフォースから極秘の、このメッセージは5秒後に自動的に消える任務依頼をうけて…
とか説明してられない。で、どうなるの?どんな映画なの?
それよりは
- 秘密道具がさらっと出てくるけどめっちゃオシャレ、変装大活躍
- 仲間を絶対に見捨てない
- イケメン、大胆不敵、ピンチでも笑顔が素敵なトム・クルーズ
- いっつもギリギリ超大ピンチ、ド迫力、超絶アクションで映画館で見たくなる
- 世界の陰謀を絶対打ち砕く
ぐらいの説明がいいだろう。良さポイントがいっぱいある。
どんな映画なのかわかるはずだ。
なにかを創作するとき、どんなものなのか?一言で説明できないとマズイ。
例えば大乱闘スマッシュブラザーズのもとになったゲームの企画書は面白い。
格闘ゲームのような体力バーではなく、ふっとび率が高まり、落ちたら負け。
簡素だけどわかりやすい。
任天堂キャラがいっぱいでて、ステージがいっぱいあって、スマッシュ技と必殺技があって…とかそういう説明じゃだめだ。
同じように絵とか3Dモデリングとか建築にも応用できるんじゃないかと思う。
で、それってどんな絵なの?どんな風景なの?どんなアバターなの?どんな建築なの?
そうじゃないと印象にも残らない。大事なことが伝わらないことになる。
これこそがコンセプトを明確にするということなのだろう。