かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

ハーバードの心理学講義のTED動画がすごくよかった!内向的人間の時代にリンクしてる!

 

わりとおしゃれな表紙の自己啓発本チックなやつ

最近「ハーバード流○○」とか「スタンフォードの○○」などがくっついてる本が書店によく並んでいるのを見かける。こういう系はかなりの確率でTEDに動画がある。その中でもちょっと表紙がおしゃれだなあと思っていたのが自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義。正直ピンとこないのと、ただの自己啓発本だろうなあと思って後回しにしてた。ともあれTED動画を検索してみることにした。

自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義

自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義

 

 

実は内向的と外向的性格のめっちゃ面白い話だった!

www.ted.com

TEDの動画説明文は毎回簡潔にその内容をまとめていて素晴らしいプロの所業だと思う。今回のブライアンリトルの発表の説明を以下に引用する。気になる部分は赤字にした。

自分を自分たらしめるものとは何か。心理学者はなにかと、人の特性や、その人を特徴づける性質を定義したものを持ち出します。しかしブライアン・リトルが注目するのは、文化として求められる場合や、自らそうせざるを得ない場合も含め、人がこういった特性を超えて振る舞うケースです。このトークでは、リトル博士が内向型人間と外向型人間の違いに切り込み、人の性格は自分で思っているよりも変幻自在なものであると言えるのはなぜかを解説します。

ということでまさかの内向的人間と外向的人間についての説明動画だった。自分は以前にも何個か内向的人間についての記事を書いていて特別関心を持っている。自分自身がとんでもないほど内向的な人間だからだ。この動画を見逃していた自分がとっても悔しい。

 

本編前のよもやま話

動画の内容はとっても面白い。ところどころジョークをたくさん盛り込んで観客を飽きさせない。けれどもちょっと言葉や文脈がいまいちわかりづらい。ちなみに自分はTEDの動画をDigital Castというサイトで見ているのだけれど翻訳した人からの評価はまあよくない。

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こんな感じで品詞などに色付けされて区切りもついて非常に読みやすいのでオススメ。英語の字幕がついていると話を聞き取りやすく感じる。で、この翻訳の裏話が検索すると出てくる。以下に引用してみるとこんな感じで書かれている。

英語学習の教材には向かないTalkです。字幕なしで聞き取れる上級者でも、内容をすべて理解するのは厳しいでしょう。英語字幕を見てもあまり助けになりません誰にでもわかる話し方を選んでいないのには理由があり、それ自体が講演内容の伏線になっていると考えられます。もちろん、講演者本人の立場や聴衆への敬意の表れでもあります。

というわけで、実はわざと難しく文脈をちょっとひねっている疑惑がある。ただそれは話の内容の伏線だよということが書かれていて面白い。ここらへんを理解しつつ動画を視聴すると味わい深い。

 

話の要約

動画全体は15分。その中の最初の3分は研究背景のようなもの。多くの人は自分が「つまらない人間」とか「天性のアホさを持つ」などと気質や性格を分類してタグ付けみたいにしている。心理学では性格を5つの指標で分類している。好奇心、勤勉、外向性、協調性、神経質。けれどもこの指標は正しいのでしょうか?と問いかける

そして内向性と外向性の話について面白おかしく語るけれどもここでは割愛。ここまでが11分くらい。だいたい8分くらいは内向的と外向的の違いの面白い話だ。

残りの4分が大きなミソの部分。”人間とはこれが全てか?ただの特性の集まりか?”と問いかける。

では自分の個性とはいったいなにか?それはパーソナルプロジェクトだと答える。自分の人生の中核にある「コア・プロジェクト」が重要だと。だから「どんな性格か?」よりも「どんなコアプロジェクトか?」を聞くべきだと述べる。そのコアプロジェクトを成功させるために人々は時に外向的に振舞ったりする。自由な特性を発揮するのだと

で、最後が面白すぎた。13:58くらいからスーザンケインの本「内向的人間の時代」にでてくる内向的な教授の話が出てくる。この教授は大変外向的な授業をするのだけど、本質は内向的なので授業後は個室トイレに籠る。ところが授業後に超外向的な人間が隣の個室から話しかけてきたのだ!このエピソードが自分自身だとまさかの暴露。

そして最後に「この発表が終わったらトイレに行くけどついてこないで!」と締める。わりとマジで言ってる必死さがちょっと不謹慎ながら笑ってしまう。

内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える (講談社+α文庫)

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感想

…まさかの本人ご登場な感じがして一人で盛り上がってしまった。内向的人間の時代で一番好きなエピソードだっただけに。この教授のエピソード、それからはトイレで足を上げないといけなくなったと悲壮感溢れるコメントを書いたりしてすごく親近感があった。一気に本を買いたくなってしまった。

 

ともあれ話の本筋も非常に面白く示唆に富んでいる。面白い、面白くない人間だから○○はしない…とかじゃなく、”自分の人生で成し遂げたいこと”を重要視するという姿勢は素晴らしい。昨今の面接の質疑でも「自分の性格をどう思いますか?」という質問なんかよりも、確かに「あなたの人生で成し遂げたいことはなんですか?」という質問のほうがよっぽど面白い。

自分の人生で成し遂げたいこと、自分にとって大切にしている価値観について立ち向かうとき人間はその本質や性質を乗り越えられるんじゃないかという指摘がいい。非常に勇気をくれるように思う。性格や分類で人を見るという偏見的なフィルターを取り払うのにも効果的だろう。

例えば仕事を任せたいなと思った時、あの人は積極性がないからとか仕事が遅いからと考えるのではなく、あの人のコア・プロジェクトに合っているから任せてみようとなるのはとっても良い考えだと思う。やる気の考えからも一致しているように思う。外発的な動機付けではなく内発的な動機づけになるからだ。

この考え方は非常に価値のあるものだ。現代は心理学を簡単かつ便利に精神を分類するのに使いすぎてしまったんじゃないか。より深い人生を歩む勇気をくれるような素晴らしい動画だった。いま見れて本当によかったと思う。

内向的な人間性に悩んでいる人にオススメです。