かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

自分が1年間ブログをやってきた中でのオススメ本ベスト3

 

今週のお題は「今年買ってよかったもの」ということで自分が記事を書いた、ぜひおすすめしたい本ランキングを書きたいと思う。さっそく第1位から。3位からではない。一番オススメしたい本は一番最初に置く。もたもたするのは好きではない。

 

第一位:失敗の本質

kayanomi.hatenablog.com

最近、日本のあれやこれやの暗い話をよく目にするようになった。今年は電通の残業問題、そして企業のデータ改竄、東芝粉飾決算などなど。また国際的に日本企業は嫌われているという産経新聞のコラムも物議をかもした。

現場の人間に裁量がない、何事も会議会議、上からの承認が必要、情報や調査は当然無料。そういった日本のしみついた文化が嫌われている。

 

いまや日本の企業体質は国際社会から遅れているのではないか。なぜ変われないのか。なぜ改善できないのか。なぜここまで暗い話ばかりなのか。それは失敗の本質で書かれている旧日本軍の反省を活かせず、まるでなにも変わっていないからだ。

 

そもそも上記記事を書いたきっかけは「誰かが休みをとると周囲に迷惑がかかる、周囲から恨まれる」という話がネットで話題になったからだ。日本人は休まない。過労死、サービス残業、休日出勤。そのくせ周囲の同調圧力で互いに責めあい、上からの改善がなければ下は何もできない組織構造…。

 

これはいったいなぜだろうかと考えていくうちに、ふと「失敗の本質」の文章が浮かんだのだ。これは要するに組織的な強さで戦おうとするのではなく、個人個人の戦闘力を最大化して戦おうとしていることにほかならない。会社という組織ではなく、会社員それぞれが全力で成果を上げ続けることで成り立っている。

 

個人個人の能力を最大化することで組織全体を勝利させようとする。これは旧日本軍の犯した過ちそのものである。すなわち戦術の勝利こそ戦略の勝利というわけだ。だが戦略の失敗は戦術では覆せない。業績悪化は個人の頑張りでは挽回できないし、するべきではない。

 

個人を信じ、個人の能力を最大化することに躍起になり、個人の能力が低いものを叩きのめす。そういうことをするのではなく、システム、組織を強化するようにしなければ真の改善は得られない。個人の能力を最大化させ続けた後、どんどん辞めていった組織はどうなるか。

 

長々と書いてしまったが、要するに今なお必読の書である。現代日本の失敗の本質はいまだに少しも変っちゃいないし、反省もなされていないということに絶望できる。ブラック企業の起源は実はここらへんにあるんじゃないだろうか。

 

第二位:CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり

kayanomi.hatenablog.com

これは長らく自分の中で疑問だった「飲食店で店員が話しているとムッとする」というものに素晴らしく納得させてくれる答えをくれた素晴らしい本だ。解答としては「店内とは幕が上がった舞台のようなもの」である。舞台の上で役者同士が世間話なんてしてたら最悪だ。お客様はただご飯を食べに来ているわけじゃない。舞台そのものも含めて楽しんでいるのだ。

 

また常連客と何も言わずに時々来る客のどちらがより大切か?という疑問にもきっぱり答えている。何も言わず時々来る客のほうが圧倒的に大切なのだ。本の中身から言葉を借りると「何も言わずに時々来る客は内心満足してらっしゃるのだ」という。

 

内向的な人にありがちな顔を覚えられたり「いつもありがとうございます」とか言われるともういきたくないなーというのもこれに似た心理かもしれない。どこまでも一般客として、どこまでも公平な扱いとして食事を楽しみたい。そういったニーズにこたえる必要がある。

 

他にもアンケートやお客様からのクレームについて、飲食店では絶対に守らなければならない「食べ物の恨み」にまつわる話など絶対に読んで損はないと思う。それにココイチ好きならもっと好きになって次の日にはココイチに行きたくなるはずだ。ぜひ飲食店に限らない、店員のあるべき姿を知りたい人は読んでほしい。

 

 

 

第三位:5歳の子どもにできそうでできないアート

kayanomi.hatenablog.com

最近の近代芸術は誰にでも出来そう、そう5歳児にも。そんな風に思ったことはないだろうか?この本の表紙にはキャンバスにカッターで切り付けたような裂け目が一つ。うっかり5歳児が穴をあけてしまったのと変わりないだろう?そういった視点をがらりと変えてくれる。

 

こういった芸術が芸術として成り立つのはそれを作った人間の背景とそこに至るまでの芸術史のあれやこれやが必要なのだ。そして見る側にもそれは要求される。その前提となる知識をこれでもかときっちり説明してくれるのでまず作品を見て第一印象をしっかり記憶したあとに解説をよむといかにスゴイ作品なのかを感じ取れると思う。

 

ぜひ芸術がわからないとか理解できそうもない、もしくは意味の分からない芸術なんてなんの価値もないと思っている人に面白半分に読んでもらいたい。そして新鮮な驚きを感じてほしい。

 

おわりに

というわけで一位は失敗の本質。日本人の精神性を読み解くのには必須の書である。しかしまあ悲しくなるのは若い人にも脈々と失敗の本質で指摘されている戦術至上主義が受け継がれてしまっていることである。いったいどこからそういった思想がうまれ、染まっていくのだろうか。

 

これだけの名著があるにもかかわらず組織的な改善がなされていないということを実はものすごく反省しなきゃならないのではないだろうか。そういった思いも込めて第一位にさせてもらった。自分も何度も何度も読み返してきちんと学ばなければならないと思っている。それぐらい価値のある本である。

 

二位は迷ったがココイチ。これも非常に日常のもやもやとした気持ちを吹き飛ばしてくれた素晴らしい本だった。自分だけかな…とかこんなことで腹を立てる自分はおかしい、器が小さいと思っていたけれど、そんなことはなかった。これは飲食店に限った話ではないと思う。だれだって心地のよい場所で過ごしたいのだ。ご飯を食べている時はなおさら。

 

三位は芸術について書かれた本をチョイス。普段あまり気にかけない、もしくはわからないから諦めたりしているものを救ってくれる本だと思う。まさしく自分にとってはこういう本が欲しかった!と言える本である。

 

ブログを書いてきて面白い本に出合えて、そのうえで自分の考えを整理してきちんと記録に残せるというのが非常に楽しかった。これからもいろいろ本を読んで書き続けたいと思う。