かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

ブラック・ミラーの全体的な感想。考えたくなかった問題を晒す作品。

 

近未来胸糞後味最悪SF作品(褒め言葉)

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THE FUTURE IS BRIGHT. 未来は希望で溢れている。…本当に?
我々はちゃんと自分たちを客観的に見れているのだろうか?
そして未来に発生しうる問題を直視できるだろうか。

Netflixオリジナル作品のブラック・ミラー。
簡単に言えば、相当に後味が悪く、大変に胸糞で、救いのない近代SF短編映画だ。

「5億年ボタン」、「懲役30日」、「哲学的ゾンビ」、「マトリックス」、「PSYCHO-PASS」、「攻殻機動隊」、「メタルギアソリッド4」、「Watch Dogs」、「景の海のアペイリア」、筒井 哲也のだいたいの作品などが好きな人にはオススメできる。

自分は怖いもの見たさについ再生した結果、一気に全部見てしまった。

一つ一つのテーマが非常に技術的で深く考えさせられる。
また、それはすべて現代社会がまだ問題にしていない、ブラックなテーマだった。
いわゆる不都合な真実、ヤバイ経済学みたいな真っ黒なテーマを扱う。

最近VR界隈でもちょっと不穏な話題がいくつか出ていたように思う。
そうした問題をきっと早くから描いていたのはブラックミラーだ。

ブラックミラーはそれぞれの話が独立しているのでどこからでも楽しめる。
作品の基本的なバックグラウンドの背景はだいたいが共通している。
VR技術、AR技術、SNS、IoT、ビッグデータ、動画配信、AI、クラウド
これらは今現在も使われていて、それらをさらに進めた未来の話という感じだ。

 

どこにも救いなどない世界

あらかじめブラックミラーを見る人が注意しておいたほうがいいことは一つ。
言ってしまえばこの作品、だいたいすべてにおいて救いがない。

一見救われているようで救われない。または次のシーズンで補完され凄惨な目に遭う。
だいたいにおいてみな裁かれる世界観だ。絶えず自分の価値観が揺さぶられるだろう。
ブラックミラーにハッピーエンドなど求めてはいけない。

ブラックミラーで扱っている、まだ実現していない技術、テーマを列挙しようと思う。
これは自分の主観で見つけられた問題だ。他にあっても気づいてないかもしれない。
どれかに興味があるなら、ブラックミラーを観てもいいかもしれない。

ちなみに自分が一番好きなのはホワイトクリスマス。最低最悪の物語だからだ。
二番目は殺意の追跡。救いがまったくない。

 

自分が感じたテーマと現実の例

SNSの共感性の欠如、群衆の無知、集団的な意思が電子的に歪められること
(例:TED 晒された屈辱の値段、フェイクニュース、大統領選)

自分のソーシャルな評価がすべての社会的評価に拡大されたら
(例:Twitterのフォロー数で割引、Youtuberの再生数、登録数)

 

自分自身を売り物にする行為がよりエスカレートしたら
(例:クリックによる広告収入、再生数を稼ぐための危険な行為をするYoutuber)

 

犯罪者に対する人権を無視し、正義を満たそうとする行為について
(例:ネット私刑、リンチ、自分の店の前に盗んだ人間の画像をいつまでも掲示とか)

 

自分自身の電子コピー(スワンプマン)に対して人権は発生しうるか
(例:人工知能が会話を嫌がった例)

自分自身の電子コピー(スワンプマン)を不正コピーされ監禁されたら
(例:似た問題はキズナアイを演じる男性)

 

故人や友人をSNSなどから複製した場合に発生する問題
(例:人形を自分の子だと信じて狂ったように笑う人など)

自分の記憶を完璧に記憶され公的かつ平等に、しかも正確に評価されるとしたら
(例:アリバイ、取り調べの可視化、いつでも録音される時代)

自分の視界を電子的に書き換えられる未来がやってきたときの問題
(例:防犯カメラの人の顔の自動検知ならびにマスキング技術)

上記のテーマはすべてブラックミラーのいろんな話に通じている。
複数のものもあれば、一話しか対応しない話もある。

ブラックミラーを見た人は上のテーマを見て、あれのことかとわかると思う。

 

 おわりに

これから少しずつブラックミラーの各話を一つずつ書いていこうと思う。
一つ一つの話があまりにも深すぎて一気に書くことはできない。
自分でも拾い切れないテーマばかりだろうが、ちょっとずつ感想を書きたい。

 

もう一つ大事なこととして思うのは、これを見て我々は絶望すべきか?ということだ。
それについては、違うだろう。
ブラックミラーのような間違った未来を選ばないように生きていかなければならない。
だからブラックミラーは批判ではなく警告、反面教師として見るほうがよいだろう。

これは未来の話でファンタジーだと思ってしまうのが、一番マズイと思う。
どこか現実の話の延長線であると注意深くみないと、自分の中に危機感が生まれないだろう。そうなれば見事にブラックミラーの未来がやってくるだろうと思う。