Slay the spireがPS Plusの無料プレイ対象になった。
このゲームは非常に硬派なカードゲームで難易度が非常に高い。
さらにセーブデータは一切なく、敗北=データ消去でやり直しだ。過酷である。
Xbox Gamepass でも絶賛配信中なので興味があればやってみてほしい。
さて、このゲームの攻略について一つ面白いことがある。
Slay the spireはかなりボードゲームライクな作りだ。
ゲームのバランス、シビアさ、ランダム性が非常に優れている。プレイヤーの腕の見せ所は、まさしく”選択”にある。ランダム性を味方につけるか、排除するか。強敵に挑むか、避けるか。価値の高いアイテムを惜しみなく使うか、使わぬまま敗北して消えるか。
その”選択”の一つにデッキ構築のためのカード選びがある。敵と戦って勝利すると新しいカードが手に入る。だんだんと敵が強くなり、強敵と戦えば強いカードが手に入る。弱いやつと戦い続けても強くなれない。だが、強いやつには対策できないと一瞬で敗北するわけだ。
そのカードの選択もまた難しい。いらないカードを得てしまうと、欲しいカードが出てくる確率が結局減るわけだ。AというカードとBというカード、2つ合わせて効果を発揮するようなコンボも、デッキの枚数が増えるに連れ出しにくくなっていく。
どんなカードを選ぶべきか、選ばないべきか。これは非常に難しい選択だ。欲しいカードのコンボをしたくても、もう片方が永遠に出ないなんてこともありうる。
つまり確率なわけだ。どのカードを選べばゲームにクリアに近づけるのか?
実はその答えがSlay the spireの攻略Wikiに載っており、これが非常に面白い。
一番下の勝率が高いカードというのがまさしくそれだ。このSlay the spireには実質ハードモードが存在し、20週くらいすると常人にはまったく歯が立たない究極の難易度のゲームとなる。
その中で最も勝率が高かったカードの順がでているわけだ!通常ゲームをクリアするには十分すぎるほど信頼性の高い順になっている。一見して強そうに見えるカードがランキングにはまったく入っておらず、不利そうに見えるカードが上位の”絶対取った方がいい”ランキングに入っていたりと非常に面白い。
で、この通りにデッキを組んでみると…勝てる、勝てるのである。統計は真理である。
序盤や中盤にホントに勝てるのか、勝ち筋はあるのか。まったくコンボとかも決まらず苦しい戦いをしていても、後半に強いカードが手に入るたび相乗効果でどんどんデッキが強くなる。余計なカードをとってこなかった分、回転率もよい。
ともあれ、統計値を見ながら勝利を目指した感想としては…なんか無情である。
たしかに楽しくはある、あるのだが所詮統計値にはかなわないか…みたいな気持ちだ。
ゲームバランスそのものを見てしまった感じというか。
将棋でAIによる理論的”良い手”の指示のまま勝ってしまったというか。
たぶん本当は自分の信じる道、自分の好きなデッキを目指して作って遊ぶのが楽しいんだろう。遊戯王などカードゲームそのものがまさしくそうなのではないか。やったことはないのだが、おそらく攻略Wikiとかを必死に見て強いカード弱いカードばっかりみてると面白くないのだろう。いわゆる最強テンプレ談義である。
格闘ゲームでも同じ気持ちになったことがある。技が出るのが4F(4/60秒=0.06秒)とかで、相手が6F(6/60=0.1秒)だから理論的には潰しやすいとか…
調べるのは楽しいかもしれないけど、ゲームとして遊ぶ分にはそこまで面白くないのである。結局のところ理論的にはこっちが強いのじゃい!と思いながら勢いよく戦うだけで、役に立ってるかは別問題である。気持ちの問題だ。
強く、ゲームクリアしやすい武器を知っていたとしても”あえて”自分の好きなものを使ったり、無視したりするのもまたゲームとしての楽しみ方だな、と思った。