森美術館開館20周年記念展に行ってきた。様々なタイプのアートがあって、分量も多く時間に余裕があるときに行くといいと思う。扱っているテーマは重たく、普段からは意識しづらい地球環境について心にズンっとくる展示が多かった。
美術館でゆっくり見る時間の貴重さ
全体として環境問題をテーマにしている。
古いアートにはダイレクトに残酷さが含まれていた。それはそれでメッセージ性が強いものではあるが、現代のアートも全然負けてない。
新しいアートは表面的には印象は強くないけれど、よく観察したり、奥深さに気付かされ、そのメッセージのエグさが際立つような仕組みになっていた気がする。
映像作品がいくつかあった。わりと長めの尺の動画で、これはなんだろうとじっとみて、わからないままに没頭できる時間は貴重だった。
単純な見た目だけじゃない作品が多く、美術館に行ってゆっくり座って鑑賞するのは文化そのものだとしみじみ思った。Youtubeで家で見てるだけじゃ意識が全然違う。
メッセージの重み
鑑賞してよかったのは、やはり真珠のテーマである。
モニラ・アルカディリ 、《恨み言》。
思わず写真を撮ったが、内容は「声」。
ひたすらの恨み言が重なり、連なり、人間を見下ろしながら語りかけてくるのは圧巻。
VRでも再現はできるだろうけど、現実のリアリティの重さを感じ取れた。
保良 雄 、《fruiting body》。なんとなく足をとめて長く見つめてしまった。
文明の光としてある電球がつけたり消えたりして、儚い感じ。
足元には工業化の錆びた後にも見える土、
石から削られてできたきれいそうに見えてボロボロになっていくもの。
音も印象深く、スイッチがカチカチと切れる音が時計の時刻を進めるようで、
光も頼りない。人類の文明の技術が照らし出すものも永遠じゃない。
展示自体は小さいけれど印象はすごく大きかった。
美術館側も答える
会場は全体的に再利用品でできているが、これは納得だった。
壁とかが塗装なしだったり。違和感があったし、別にやらなくてもと最初は思った。
けれど、展示物を見た後に納得する。
こんだけ強いメッセージを持つ作品が大量にあるのに美術館側がなにもしないってわけには行かなかったんだろうねと。
むしろやって当然、エコに対してのポーズじゃなくて、これもまた美術館の答えなのだろうと思った。作品の展示に対しての真摯な対応と言える気がする。
全体の感想
展示会になんとなく行った。なにかいいものがあるのでは、興味深いものがあるのではと。なにか創作の足しになればいいかなと思いつつ期待はしていなかった。
けど今回の展示はそれぞれが気合入っていて、プロのメッセージ力の強さを感じた。
アートのプロが作品でもって強いメッセージ性を出すとこんなにも違うのかと。
SNSとかで小さな悪意、喧嘩などは目にするけど、全然違うなあと。
たぶんアートのプロが本気を出して、SNSの悪意みたいなのを作品に込めたら大変なものになるだろうと思った。
いろいろ気づけたし、メッセージの強さがすごく、人類は環境に対して幾重にも罪を重ね続けてるよね…と落ち込んだりした。