かやのみ日記帳

日々感じたことをつれづれと書いています。

Into the Breachの感想

 

ターン制ストラテジゲーム

store.steampowered.com

FTLの次の作品、Into the breachだが、ストーリーに関連はまったくないが素晴らしい続編になっている。FTLの良い部分をうまく抽出しており悪い部分を改善している。
ボードゲームらしさも存分にあり非常に楽しめた。

…ちなみに今作もセーブなし、一回ゲームオーバーで全部やりなおしである。ストイックさは継承してほしくないものだが。


Steamのレビューで詰将棋と言われていたがまさしくそのとおり。
ターン制で時間制限なく、ゆっくり一手を考えるゲームだ。
シンプルで3手しかプレイヤーには与えられていないし、ステージも狭い。
けどそれが面白いのだ。

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マップの大きさは全部いっしょ、味方は基本3体だけ

マップの大きさは8x8だが、実際に動けるマスは結構少ない。6x6くらい。
かなり狭い中をちまちまやりくりするゲームだ。
プレイヤーが動かせるコマはマップに備え付けのものがなければ3体、3手だけ。
敵の数は放置すれば増えていくのでなんとも言えないが、こちらも平均3体。

プレイヤーの大目標は市民を守ること。マップにビルがあるので、これらを守る必要がある。ビルは敵の攻撃一発で破壊され、世界全体の電力を失う。この電力値が0になるとゲームオーバーだ。

 

手数を稼ぐ

敵のHPは平均3くらい。こちらの攻撃力の平均値は1-2。つまり一撃で葬ることはなかなか難しい。なので工夫して市民を守りつつ敵を排除していく必要がある。

またサブ目標があり、列車を守る、味方の兵器を守る必要がある。ゲームクリアに必須ではないが、クリアしておくとお得なものだ。こうした複数目標をなんとか少ない手数で全部クリアする必要がある…。

何も考えずにプレイすると、基本的に1手足りない。そんなゲームバランスなのだ。
そこを工夫することで乗り切ることができる。

 

例えばミサイルのダメージは1なのだが、水没は即死である。
なので敵を動かしたり、いい位置にいれば一発で倒すことができる。
この押しだし効果をいかに上手に使えるかが肝なのだ。
この画像の敵のHPは4だが、一手で倒すことができる。

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押し出して水没させるとおいしい

トレードオフ

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ショップはあってもFTLよりは厳しい

Into the breachはトレードオフのバランスがとてもいい。
プレイヤーのHPと攻撃のバランス。敵の次の出現場所にプレイヤーのユニットを置いておけば、HP-1と引き換えに出現を遅らせることができる。だが、HPの最大値が最初は2,3くらいしかない。一手遅らせることで瀕死になったりする。

 

じゃあ幅を広げるために強化したい!が、なんとショップはステージクリア後に一回だけだ。しかも品目も少ない!なので期待できないのである。手持ちの武器をちまちまとすこしずーつアップグレードするのが普通の戦略だ。

ステージの中ではアップグレードを基本できない。じっくりじっくり考えて少ない手数を活かすために頭を捻らなければならない。強化しても結局敵も強くなっていくので、考えるのをやめることは永遠にできない。

この強くなろうとしてもいろんなトレードオフ制約から逃げられない感覚。これがいい。ゲームバランスを逸脱できないことがストレスにならない。簡単じゃないからこそ、面白い。

 

おわりに

実はFTLよりもハマらなかったのである。そこまで熱中していない。というのもバランスが良すぎるのだ。FTLには最強壊れ武器がいくつかあって、これさえあればだいたい勝てるというのがあったのだが、Into the Breachはそんなものはない。

だいたい1手1体の敵の排除くらいしかできないし、強化もバラバラなのでいまいち無双感はないのである。FTLはうまーくいけば無双が楽しめるバランスなのもよかったところなのだが。いや、もしかしてFTLをやりすぎただけか…?

ともあれInto the Breachはゲームバランスが優れていすぎるので、なんだか先が見えるのである。一歩ずつ着実に手数を無駄にせずにやっていくしかないなと。どんなユニットでどんな武器を使おうとも変わらないだろう。

 

また一手ずつ考えるのが大変だ。FTLは実は脳筋でクリアできるゲームではある。判断ポイントがある程度限られている。戦闘ならシールドか武器を狙い、沈黙させた後に機関部または司令室の攻撃。これを繰り返すだけ。道中は資源配分と燃料、ミサイル量などを見積もりつつ、ショップでいい武器を狙う。それだけだ。

ある程度なにも考えなくてもほぼ自動でこなしてもいいくらいなのだ。ところがInto the Breachは余裕がない。バランスがよすぎるというか、タイトというか一手ミスるだけで大ピンチなのだ。ゲームオーバーゲージが7本しかない関係上、7回敵がビルに攻撃したら負けである。ユニット喪失なんてしたら手数が減ってさらに大変になる。

 

FTLはある程度HPがあり、逃げ出すことも可能なのでなんとかなるが…もちろん運要素がかなりでかいので相当不運だとどうにもならない。が、ある程度気楽にしょうがないと思える。

Into the breachはランダム性が意外と少ない気がする。堅実なゲームデザインなのだ。
必然的にプレイヤーの行動も、強化も堅実に成りがちだと思う。博打的要素がない。
そこが実はFTLとの違いなんじゃないだろうか。あまりInto the breachで運に悩まされたことは少ない。それは良さでもあり、弱点でもあるような気がする。

 

ともあれ凡百のゲームよりはとっっっっても面白い。素晴らしいバランスで成り立っている名作だと思う。