営業中の店は舞台そのもの。客はご飯だけを食べに来たわけじゃない。
飲食店で店員さんが内輪で盛り上がってたり、叱ってるとゲンナリします。
どうしてなんだろうか?おなかが減ってイライラしてるだけか?うーん?
そんな疑問をかれーに解決してくれるのが本書です!…ええ、すべりましたね。
本書では第一章からココイチ哲学のバッサリとした視点が提示されます。
営業中の店は幕の上がった舞台のようなものである。
例えば舞台の上で自分の台詞を言い終わった役者が、暇だからと同じように台詞のない隣の役者に話しかけるだろうか。
そんなことをしたら舞台はぶち壊しである。
(中略)
店での私語はそれに匹敵する行為である。
P29 第1章 成功のカギとなったもの
本書は本屋さんで立ち読みして見つけてしまったのですが、この文章に感動して衝動買い。まったく後悔しませんでした!
しかし本当にすごい切れ味のある視点です。まさか飲食店が舞台と同じとは!
たしかにその通りです。おなかを満たすためとはいえ、店が汚かったり、うるさければイライラも大きくなってしまうもの。
お客さんはただ食べれればいいというわけではないのです。
モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず自由で なんというか 救われてなきゃあダメなんだ 独りで静かで豊かで……
まさしくゴローちゃんですね…。とっても正しい名言…。
アンケートを丹念に分析して、改善する姿勢
ココイチではアンケートを取っていて、同じ店、同じ時間帯でも正反対の評価が届くそうです。それはお客さんが店内の清潔感や店員の態度によって味の評価すら変わってしまうことを示していると述べています。
確かに行きたくなる店、行きたくなくなる店というのはあります。そういった消費者の無意識的な感想をアンケートから丹念に分析する姿勢が感じられます。
なにより本書には実際のアンケートの内容、日時、客層まで克明に書かれているのですから!これを収集してきちんと載せる姿勢は本当にすごいと思います。
常連客とたまに来る人、どっちが大切なのか?
これをズバッと、たまに来る人のほうだと明言しているのが本書である。
なぜなら、普通の客から見て、なれなれしい、差別を受けている気持ちになってしまうからということ。
黙って来て、黙って召し上がって、お帰りになる。何も言わないが何度も足を運んでくださるということは、内心でCoCo壱番屋に満足されているのだ。
P53 第1章 成功のカギとなったもの
常連客は絶対数が少ないから、少ない常連客の満足のために、大勢のお客様を不愉快にさせて店が繁盛するはずがない。
P54 第1章 成功のカギとなったもの
ココイチは公平な接客サービスと、それを提供する環境の整備。そこから生まれる味への評価を大切にしているのだ。不愉快になりそうなサービスは行わない。あくまで公平なサービスでの勝負を挑んでいるということだろう。
その姿勢がきちんと表れていると嬉しくなる。初めて来たのに店員に笑顔で接客される。また来たくなる。そういった真摯な態度が繁盛につながると説く。
他の章にもお宝ざっくざくな書籍
これらの文章が全て第一章に詰まっているのだから恐ろしい。文庫サイズの小さな200ページ程度の本書だが、すべての章が真摯で、シンプルで金言に富んでいる。
例えば紹介していない第一章の小節では、食い物の恨みは恐ろしい、ということが語られる。これは飲食店あるあるで、腹が減っているのに量が少なかったり冷めていたり。
こういった文句は命取りになるぞ、と説いている。
また第二章ではコピー店が増えてもまったく怖くない理由、店は最初から繁盛しないほうがいい、など刺激的なタイトルだ。しかし内容はいたって真面目である。
第三章ではココイチの謎の立地の悪さについて説かれる。いやホント中途半端に遠いですよね、ココイチ…。そこも実は戦略の一つ。そして加盟店には儲けてもらう、いや儲けてもらわなきゃ困ると力説する。
第四章はココイチの神髄、アンケートについての総まとめ。とにかく読みごたえがある。
本書で書かれていることは至極もっとも、簡単なものだというが、行うは難しであると忠告がきちんと書いてある。こういった簡単で守るのが難しいことを続けてこそ繁盛につながるんだと、まっとうな意見で一貫している。
この姿勢のぶれなさ、アンケートから真摯にお客さんへと向き合う心に感動する書籍だった。
まとめ
もともと自分はココイチが大好きで、ご褒美カレー的な位置を占めています(?)
そんな自分が読んでみて、ますますココイチ大好きだ!となってしまいました。
…おなか、減ってきましたね。
明日はココイチに行って福神漬けいっぱい食べたいなと思ってしまう本書でした。

CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 宗次徳ニ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/10/02
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 33回
- この商品を含むブログ (5件) を見る